今回のブログは日本の漢方の流派について詳しく説明をさせていただきます。
あまり知られていませんが、漢方にも流派があります。お客様が気にされる必要はないのですが、薬剤師の皆様は知っておいても良いかもしれません。
1. 古方派(こほうは)
特徴:
古代中国の古典医学書『傷寒論(しょうかんろん)』や『金匱要略(きんきようりゃく)』を重視し、古典に忠実に治療を行います。
症状や証(しょう:患者の状態や体質)に基づいて、方剤(処方)を決定します。
複雑な理論よりも、患者の体の反応や証に即したシンプルな治療を行います。
代表的な人物:
後藤艮山(ごとうこんざん)
吉益東洞(よしますとうどう)
浅田宗伯(あさだそうはく)
荒木朴庵(あらきぼくあん)
主な考え方:
「証」に基づき、病気の原因を直接治療することを重視します。
生薬の配合を極力シンプルにし、効果を明確に見極めることを大切にします。
ちなみに浦田はこの古方を使うので古方派ということになります。
2. 後世方派(こうせいほうは)
特徴:
古典だけでなく、後世の医家たちが発展させた医書を基にした治療を行います。
明代以降の中国医学書に影響を受け、「万病一風説(ばんびょういっぷうせつ)」など、体の状態を全体的に見る傾向があります。
複雑な病態や慢性病への対応が得意です。日本では歴史が1番古いのがこの流派になります。
代表的な人物:
曲直瀬道三(まなせどうさん)
多紀元簡(たきげんかん)
主な考え方:
診察には四診法(望診・聞診・問診・切診)を用い、より複雑な理論体系に基づいて治療します。
3. 折衷派(せっちゅうは)
特徴:
古方派と後世派の理論を融合し、病状や患者に合わせて柔軟に治療する流派です。
臨機応変に治療方針を選び、特定の理論に固執しないスタイルが特徴です。
代表的な人物:
和田東郭(わだとうかく)
吉益南涯(よしますなんがい)
主な考え方:
患者ごとの病態や状況に合わせて、治療法や処方を選択します。上の2つをどっちも使う人たちになります。
4. 方証相対派(ほうしょうそうたいは)
特徴:
症状と処方(方剤)を正確に一致させるという原則を重視する流派です。日本漢方はどれもこの考えを持っているため流派と言っていいのかちょっと自信ありません。古方派に含んでもいいような・・・こだわりすぎるとわからなくなるので流派の一つとさせてください。
「方証相対」とは、「特定の症状には特定の処方を用いる」という考え方です。
代表的な人物:
浅田宗伯(あさだそうはく)さんがこの考え方を強く推進しました。
日本の漢方ではないですが、中医学や韓国、台湾の漢方なんかもあります。
日本漢方の特徴としては理論だけでなく、実際の臨床での経験や応用を重視します。
当たり前ですが、これらの流派を基にしつつ、個々の患者に合わせた治療が行われることが一般的です。
どの流派が1番ということはないのですが、生薬の質や処理方法でも効き目が変わってきます。漢方を試してみたい方は岐阜県関市のウラタ薬局にご相談くださいね。